Q1 薬物とは何ですか?
覚醒剤、大麻、コカイン、ヘロイン、シンナー等のことであり、精神に影響を及ぼす物質の中で習慣性があり、乱用されるおそれのあるものをいいます。
Q2 なぜ覚醒剤や麻薬等の使用が禁止されているのですか?
覚醒剤や麻薬等の薬物乱用は、近年、世界的に広がっており、多くの国で治安の根幹を揺るがす深刻な社会問題となっています。
覚醒剤や麻薬等は、それらを乱用する人間の精神や身体を破壊し、場合によっては死に至らしめます。また、それらの薬物によって幻覚、妄想にとらわれ、殺人や放火等の凶悪な犯罪や、交通事故を引き起こすことがあります。
薬物の購入代金ほしさから、強盗や窃盗などの犯罪を犯すこともあります。
このため、覚醒剤や麻薬等の使用は法律により禁止されており、罰則も非常に重く、覚醒剤やヘロインは所持しているだけでも、10年以下の懲役が科せられます。
Q3 薬物乱用とは何ですか?
薬物乱用とは、「医薬品を病気の予防又は治療等の医療目的から逸脱して使用すること、あるいは、医療目的にない薬物を快感を得る目的で不正に使用すること」をいいます。
例えば、覚醒剤を治療薬としてではなく、精神高揚や眠気覚ましの手段として使用したり、モルヒネを鎮痛剤としてではなく、快感を得るために使用したり、シンナーを塗料に混ぜず、陶酔感に浸るため吸入したりすることです。
Q4 覚醒剤とは何ですか?
「覚せい剤取締法」で取り締まることとしているのは、一般名メタンフェタミンやアンフェタミンとこれらの塩類をいい、白色の粉末又は無色透明の結晶で臭いはなく、やや苦みがあります。錠剤や水溶液の形で密売されていることもあります。
我が国で乱用されている覚醒剤は、そのほとんどが海外で密造され、内外の密輸・密売組織により国内に密輸入されています。
覚醒剤の密売は、巨額の利益をもたらすことから、暴力団が深く介入しています。
(参考)シャブ=覚醒剤の隠語ですが、中毒になると骨までシャブられるから、注射すると身体が寒くなる(さぶい)感じがするから、注射をするため水で溶かして振るとシャブシャブという音がするから等ということで、このような名がつけられたなどと言われています。
Q5 覚醒剤を使用するとどうなりますか?
覚醒剤には神経を興奮させる作用があり、使用すると眠気、疲労感等がなくなって頭がさえたような感覚になります。しかし、このような効果も数時間で切れ、その後は脱力感、疲労感、倦怠感におそわれます。
そこで、薬が切れるときの不快感から逃れようとしたり、最初に味わったいい気分を求めて連続して使用するようになり(これを「精神的依存」といいます。)、3か月もすると、過度の睡眠不足と食欲減退に襲われるようになります。
さらに中毒が進むと、幻覚や妄想等の症状が現れ、時には錯乱状態から発作的に他人に危害を加えることがあります。
Q6 大麻とは何ですか?
大麻は、大麻草から作られるもので、「大麻取締法」で規制されています。
大麻には、そのまま乾燥させた乾燥大麻(茶色又は草色で、通称「マリファナ」といいます。)、大麻樹脂(暗緑色の棒状又は板状で、通称「ハシッシュ」、「ガンジャ」といいます。)、油状の液体大麻(粘着性の暗緑色又は黒色のタール状で、通称「ハシッシュオイル」といいます。)などがあります。
Q7 大麻を使用するとどうなりますか?
気分が快活、陽気になったり、おしゃべりになったり、触覚、聴覚、味覚、視覚が異常になったり、時間、空間に関する正常な感覚が失われたり、判断力、思考力が鈍ったりします。
さらに、中毒になると、幻覚、妄想等に襲われ、狂乱状態から、暴力的、挑発行為を行うこともあります。
Q8 コカインとは何ですか?
南米原産のコカの葉を原料として合成される薬物で、無色の結晶または白色の結晶性粉末で、臭いはなく、苦みがあり、「麻薬及び向精神薬取締法」で麻薬として規制されています。
原料であるコカのほとんどが、コロンビア、ペルー、ボリビアの3カ国で栽培されています。コカは、栽培地で加工処理された後、密造工場に運ばれて、コカインが作られています。
Q9 コカインを使用するとどうなりますか?
神経を興奮させる作用があるため、気分が高揚し、疲労感、空腹感の喪失、体が軽く感じる、腕力、知力がついたという錯覚が起こります。乱用を続けると、覚醒剤と同じように中毒症状が現れます。
コカインの効果の持続は20~30分程度で、覚醒剤と比べて非常に短いのが特徴です。
Q10 ヘロインとは何ですか?
モルヒネを原料に合成された薬物で、麻薬として規制されています。
純粋なヘロインは白色粉末ですが、純度の低いものは灰色や灰褐色のものもあり、形状は、粉末のほかに棒状、板状、粒状などさまざまです。
一般的に臭いはありませんが、中には食酢のような臭いのするものがあります。
※ヘロイン(左)、モルヒネ(中央)、粗製モルヒネ(右)
Q11 ヘロインを使用するとどうなりますか?
ヘロインには神経を抑制する作用があり、使用すると強い陶酔感が起こります。
ヘロインに依存し乱用するようになると、2~3時間ごとに使用しなければ激しい禁断症状が現れます。
その症状は、異常な興奮、皮膚に虫のうごめくような不快感、全身的なけいれん、失神、筋肉・関節の激しい痛み等であり、これらが継続的に繰り返された後、精神に異常をきたします。
Q12 シンナーとは何ですか?
ペンキなどの粘度を減少させるために使用される有機溶剤のことをいい、「毒物及び劇物取締法」によりその乱用が禁止されています。
トルエン、接着剤、塗料、充てん剤なども、シンナーと同じように乱用することが禁止されています。
Q13 シンナー等を乱用するとどうなりますか?
神経が抑制され、頭痛や吐き気を感じた後、酒に酔ったような感じになり、感覚が鈍くなります。
乱用を続けると記憶力が低下し、幻覚、妄想が現れます。大脳の萎縮をはじめ、身体の各種器官に障害が起こり、てんかんのような発作やけいれんをしばしば起こすようになります。
死亡することもあります。
Q14 MDMAとは何ですか?
MDMAは、覚醒剤と似た化学構造を有する薬物で、MDMAは別名「エクスタシー」とも呼ばれています。
MDMAには、視覚、聴覚を変化させる作用があり、乱用すると、常に不安を感じるようになり、不眠症になります。
また、MDMAには強い依存症があり、錯乱状態に陥るほか、腎臓・肝臓の機能障害や記憶障害にも陥ることがあります。
Q15 向精神薬とはどういうものですか?
「トリアゾラム(別名ハルシオン)」などの、中枢神経に作用して、鎮静、興奮等の精神機能に影響を及ぼす物質の総称です。
不正な取引は「麻薬及び向精神薬取締法」などにより規制されています。
年々検挙人員が増えており、病院・薬局等からの盗難事件も発生しています。